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新型コロナがもたらすパラダイムシフト

投稿日:2020年6月24日 更新日:

新型コロナウイルスの影響で、経営者の方は今後の先行きが見通しずらくなっているかと思います。そんな状況の中、今後のどうしたらよいか?について私見を述べたいと思います。

世界のパラダイムシフト

古くより、感染症の拡大により、世界な変貌を遂げてきました。人類の歴史上、最も大きな感染症はペストでしょう。ペストの流行により、ヨーロッパでは50-60%の人たちがなくなりました。農奴に依存した荘園制が崩壊、農奴解放により領主から商工業者に権力がシフトし、民主主義が台頭しました。また、労働人口減少により、賃金が上昇し、市民の生活水準は向上しました。風が吹けば桶屋が儲かる的な感じですね。

直近ではスペイン風邪です。スペイン風邪により大量の事象を捉えるための「統計学」発展しました。今回の新型コロナにおいてもコロナ前後で大きく働き方や生活は変わるでしょう。

Afterコロナ/Withコロナ

感染が落ち着いていない中で、先のことについて述べるのもあれかと思いますが、コロナを経て人々の生活や働き方は大きく変わります。てか既に変わっています。よく言われているのは「価値観」の変化に伴う「行動」の変化です。

切り口として、個人と企業でも分かれると思います。

まず、個人については以下が挙げられます。

  1. 消費:サスティナブルを意識した購買行動
  2. 交友:ソーシャルメディアを通じ、国境を越えた交友関係構築
  3. 職業:社会貢献度を重視した職業選択増加
  4. 人生:ローカルコミュニティへの帰属重視、身近な人の健康・安全第一

企業では、

  1. 存在価値:ブランドの維持
  2. チャネル:あらゆる商品・サービスがダイレクトに消費者につながる
  3. ワークスタイル:リモートワーク加速による社員のエンパワーメントを高める手法・ツールの導入

等の変化が起こっています。

個人や企業の価値観や行動が変われば、ビジネスチャンスも大きく変わります。個人向けの仕事、所謂B to Cマーケットでは、これまで以上にオンラインサービスの需要が高まります。これまでリアルを前提としていたライブ・映画館等のエンターテイメント、店舗による小売り、飲食店、そして移動の根幹である交通インフラ企業はコロナ収束後に従前のビジネス踏襲では成り立たなくなっています。但し、これはチャンスでもあります。同業他社の多くが取り組めていないということは競争環境が緩やかということです。

また、デジタル・オンラインシフトはどんどん進みますが、オフラインの店舗が要らなくなるかと言うとそうでもありません。デジタルリテラシーの低い高齢者や視覚障碍者の方々にとってオフライン店舗は不可欠な存在です。ただ、ここに新たな付加価値を持たせる必要があります。

AppleはiPhoneを自社サイト、家電量販店、携帯キャリアを通じて販売しています。単なる「販売チャネル」ということであればこれで十分です。にもかかわらず、AppleはリアルのApple Storeを持っています。最近は東京の丸の内にもできました。なぜ持つのか。一つは広告宣伝的な位置づけです。新型iPhoneの発売時には長蛇の列が報道される映像を見たことがあるはずです。これは大きな宣伝効果になります。二つ目は顧客にApple商品を体験してもらう場という位置づけです。スタッフがお客さんに対して一対一でついて、商品説明、操作、精算までをEnd to Endで担当してくれます。加えて、丸の内のストアではApple製品のプレゼンを通じた体験をすることができます。消費者はストアでの体験を通じ、Appleへのロイヤリティが高まり、今後もApple製品を使い続けてもらうことができます。

リアル店舗を単なる販売チャネルから顧客のロイヤリティ向上・ライフタイムバリュー向上につなげる装置への転換が必要で、以下のようなデザイン思考のフローで考えてみるといいと思います。

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中国の事例

新型コロナ震源地の中国では、なんと不動産さえもECサービス化されています。恒大地産はリアルで内見することが前提であった不動産市場で、情報収集から契約締結まで全てオンライン化を実現し、従前以上の売上を記録しています。

最後に

現在、多くの企業が新型コロナで苦しい経営を強いられています。新型コロナへの対応のスピード感について政権批判の声は大きいですが、日本政策公庫や保証協会を通じた融資への対応は比較的早かったのではないかと思います。そうした緊急融資で当面の運営資金を確保し、その間にビジネスモデルの転換について徹底的に考えることが必要です。

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