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借りてはいけない住宅ローン

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日本の歴史的にみても、現在は空前の低金利時代です。低金利を背景に、住宅ローンを借りる人も多いかと思いますが、結局どのローンを借りたらいいの?との疑問に対し、金融機関に10年超勤め、個人営業・法人営業・海外と経験してきた私が答えます。

住宅ローンの基礎知識

住宅ローンの貸し手は言わずもがなですが、銀行です。昔は銀行と言えば駅前一等地にどーんと支店を構える、というのが一般的でしたが、現在はインターネット専業の銀行も増え、選択肢は増えたと言えます。

借りるところは正直、メガバンクでも地銀でもネット銀でもどこでもいいと思います。「メガは大きくて安心!」という人がたまにいますが、債権者である預金であればわかりますが、債務者となる住宅ローンにおいては借りる金融機関が仮に倒産したとしても返済しないといけないことは変わらず、自分の住宅ローンが別の債権者に譲渡されたとしても期限の利益を喪失することはありません(期限より前に返済しないといけないというようなことはありません)。ちなみに非対面でもそんなに手続きは難しくないです。

大きな判断材料は金利ですね。金利はネット銀行の方が安いです。なぜか?通常、貸出の原資は預金で、銀行から見た場合の負債です。金利が存在していれば、調達コストが相応に発生しますが、その預金での運用益も見込めます。これは資産規模が大きくなればなるほど収益への寄与も大きくなります。そうした時代であれば多少、貸出の金利を下げても採算が悪くなることはなく、規模が大きな銀行ほど、低金利での借り入れが可能でした。

翻って現在。マイナス金利がほぼ定着しております。こうなると預金はコストでしかなく、規模が大きいことがアダになります。加えて、メガバンクや地銀はリアル店舗を持ち、そこに人員を配置しており、経費率はネット銀とは比較にならないくらい高いです。こうしたこともあり、無駄なレガシーを持たないネット銀行の金利は従来型の銀行よりも有利で、手数料も優遇されているというわけです。

優先すべきこと

じゃあネット銀一択かと言われるとそうでもないです。金利が安いのは魅力的ですが、元々金利が低いのでそこまで差はありません。金融機関に勤める立場からすると、金利よりも「給与振込口座」のある銀行で借りるのをお勧めします。

給与振込口座は会社から指定されるケースも多いかと思います。仮に、給与と別の銀行で住宅ローンを借りるとすると、毎月給与口座から住宅ローン口座に入金する必要があります。毎月決まった金額を送金するというサービスもありますが、もちろん手数料が発生します。加えて、万が一返済を失念してしまうと、信用情報に傷がつきます。絶対に私は忘れない、という人は別ですが、毎月、意識的に口座間の資金移動をするのって結構めんどくさいです。

選択する金利

個人的には変動一択かと思います。理由は以下です。

当初固定を選択すると、その後の変動金利の優遇幅小さくなり、最初から変動で借りるよりも高い金利になるのが一般的です。例えば、最初から変動の基準金利からの優遇幅は▲1.95%だけど、固定期間終了後の変動金利の優遇幅は▲1.85%とか。当初固定金利の金利が通期変動よりも著しく低ければメリットがありますが、変動金利も底に張り付くくらいの水準であり、そこまで差はないです。

あと何故金利を固定したいのでしょうか。この答えは今後金利が上がった時に支払い金利を抑制したい、ということですが、このニーズに答えるのであれば、当初変動・後半固定か最初からずっと固定金利です。最初の商品はないですね。作れなくは無いですが、後半の固定金利がバカ高くなり、誰からも見向きもされないからです。ずっと固定金利はありますが、変動と比較すれば相当高いです。

日銀の異次元緩和により、日本がマイナス金利の世界に突入してから久しいです。物価目標2%目標も全く達成できていません。これからは人口も減少社会で、金利が上がる理由が乏しいです。国債の暴落とかがあれば金利はあがりますが、日銀がほとんど買い入れており、その可能性も現実的ではありません(日銀のB/S次第ですが)。

返済方法

返済方法は元金均等(元本の返済額は一定、毎月の金利を含めた返済額は徐々に減っていく)と元利均等(毎月の金利含めた返済額は一定、最初は金利部分の支払が多め)の2種類があります。これはどっちでもいいです。一般的に元利均等の当初は金利部分の返済が多く、なかなか元本部分が減らない、と言われていますが、それは金利が3%とかの時代で、現在では最初から相当部分が元本返済です。それでも最終的な金利負担は元金均等の方が少ないです。元金均等と元利均等の返済額の差額を毎月貯金し、1年に1回くらい期限前返済していけば金利負担は減るかと思いますが、面倒だと思います。

最後に

日本は借り手に優しい社会であり、住宅ローンを借りたときの税制優遇もあり、借りられるのであれば手元資金があっても借りる方がキャッシュフロー的には◎です。団体信用保険、つまり死んだら借入が免除よ、というものがつくのが一般的であり、生命保険の変わりとも言えます。従って、個人的には期中に返済することもないです。無駄遣いするわけではないですが、その分、運用に回した方が得ではないでしょうか。

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金融機関に勤務し、上海駐在経験有り。これまで出張や旅行で5大陸22ヶ国訪問。
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